家事・育児・介護など家族生活を維持する仕事の担当者で、女性だと主婦、対応する男性を主夫と呼ぶ。日本では大正期以降、夫の給与だけで生活する勤め人家庭が理想化され、無職の主婦が女性の生き方モデルとなった。雑誌「主婦之友」の創刊は1917年(大正6)である。既婚女性のうち無職の主婦が過半数となった高度経済成長期の一時期もあったが、仕事に就く女性が増え、「主婦」は仕事と家事・育児とのバランスをとりつつ暮らす既婚女性一般のライフスタイルになっている。53年に「主婦の友」と改称した同誌も2008年6月号で休刊した。一方、主夫についてはテレビドラマ「アットホーム・ダッド」(04年)、「誰よりもママを愛す」(06年)などが、職業キャリアを追求する妻に代わり家事・育児を担当する夫を描き注目された。役割交代を選ぶ男性が共感を得る背景には伝統的役割分担の揺らぎがある。ただし、これらドラマの夫は無職の専業主夫で、専業主婦を逆転した発想であり、現実的とはいえない。日本では、6歳未満の子どもをもつ夫の家事・育児関連に費やす時間(1日当たり)は67分で、他の先進国と比較して低水準にとどまっている(11年、総務省「社会生活基本調査」)。家事・育児と仕事をともに担当する現実の主婦のような主夫が一般化するのはまだ先であろう。