配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律。2001年成立、04年、07年、13年に改正。配偶者からの暴力が犯罪となりうる行為を含む重大な人権侵害であると位置づける。国および地方自治体は暴力防止と被害者保護の責務を有する、とした。04年改正では、保護命令の対象に元配偶者を加え、被害者の子への接近禁止命令制度を創設、退去命令期間を2カ月に延長。07年改正では、直接的暴力に加えて生命や身体に対する脅迫も保護命令の対象に。さらに被害者の親族や支援者への接近禁止命令制度、加害者による電話・電子メール送信などの制限も加えられた。また市町村にも「基本計画」作成を努力義務とした。13年の改正(14年施行)では、生活の本拠を共にする(していた)交際相手も適用対象に拡大された。各都道府県の配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所など)や警察への被害相談は増加し続けている。婦人相談所や民間シェルターでは、安全に生活するための一時保護を行っているが、あくまで対症療法であり、被害者の自立支援、再発防止のための加害者対策、子どもへの支援など課題は多い。女性被害者の自立支援に関する調査(07年、内閣府)では、被害女性が自立生活を始めるにあたり困難なこととして、当面の生活費、体調や気持ちの回復、住民票を移せないことなどがあげられていた。加害者への再教育プログラムも重要である。