自分は女である、男であるという意識(性自認)が身体性と一致しないこと。精神医学における疾患単位名。治療として精神科医による精神療法、選択した性での実生活体験、ホルモン療法、性別変更(性転換)の手術などがある。1997年、日本精神神経学会が診断・治療指針を策定。日本初の性転換手術が行われたのは埼玉医科大学(98年)。岡山大学、関西医科大学、大阪医科大学、札幌医科大学などでも指針に基づく手術が実施されている。2004年、「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律(特例法)」が施行され、身体的要件や20歳以上・婚姻していない・子なしなどの要件を満たせば戸籍上の性別変更が認められるようになった。08年には「子なし」の要件は「未成年の子どもがいないこと」と改正された。04年から12年末までの性別変更の総数は3584人。12年、女性から戸籍上性別変更した男性が、第三者の精子提供で妻が産んだ子を戸籍に嫡出子と記載するよう東京家庭裁判所、東京高等裁判所に申し立てて却下されたが、13年12月最高裁判所では男性とは血縁関係のない長男を嫡出子と認める判決が下された。12年7月に島根県松江市、10月に東京都町田市が厚生労働省の了承を得て、裏面に「戸籍上の性別 男(性同一性障がいのため)」と記し国民健康保険証を交付した。12年の内閣府「人権擁護に関する世論調査」では、性同一性障害者が、職場・学校などでの嫌がらせやいじめ(32.6%)、就職・職場での不利な扱いを受ける(28.8%)、差別的な言動をされる(28.1%)などの人権被害を受けていることが分かった。15年4月、文部科学省は、性同一性障害に係わる児童・生徒に対してきめ細やかな対応を実施するために、具体的に服装、髪型、授業、更衣室、トイレ、水泳、呼称の工夫、運動部の活動、修学旅行などでの配慮を提示した。