1952年、保安庁(防衛庁、防衛省の前身)が女性を看護職で採用したことに始まり、67年陸上自衛隊、74年海上・航空自衛隊で一般職(総務・人事・通信など)、93年には防衛庁が管轄する全職域で女性を採用。2006年、「防衛庁における男女共同参画に係る基本計画」は、女性自衛官配置制限の見直しとともに、計画立案業務への積極的参画と、災害派遣や国際平和協力活動へのさらなる活用を提言。女性の自衛官増加に向けて07年に育児休業期間の代替要員を採用する任期付自衛官制度を導入した。男性職員の育児休業や子育てに関する特別休暇の取得促進については、10年3月に策定した「防衛省特定事業主行動計画(平成22~26年度)」に基づき積極的に取り組んでいる。11年3月には、仕事と家庭生活の両立と、採用・登用の拡大を図るため「防衛省における男女共同参画に係る基本計画(平成23~27年度)」を策定。13年には自衛官総数22万4526人中、女性1万2350人で全体の5.5%、女性幹部は1926人で全体の4.5%、任期付自衛官は2298人で全体の13.9%だった。14年は総数22万6742人中5.7%の1万2958人、16年は総数22万4422人中6.1%の1万3707人と徐々に上昇(防衛省)。01年に女性の将補が誕生、上位階級女性は衛生職域中心だったが10年に全国初の女性の基地司令として空佐(53歳)が着任。一方、セクハラ問題も生じている。男性自衛官からわいせつ行為を受けたうえ退職を促されたとして、国家賠償を求めた裁判で、札幌地裁は10年7月、元航空自衛隊基地勤務の女性側の訴えを認め、国に580万円の支払いを命じた。アメリカ軍では全体の約15%が女性兵士。女性将官が少ない中、08年アン・ダンウッディ陸軍中将が陸軍資材軍団司令官としてアメリカ軍史上初の女性大将に昇進し、注目された。女性は直接の戦闘任務には就けない軍規定があるが、徴兵制の廃止以降、女性志願兵は重要な戦力となっている。アメリカ軍がイラクに送った兵力の約11%が女性兵士で、3分の1は母親であった。軍隊でのセクハラ問題も深刻だが、05年、バグダッド郊外のアブグレイブ刑務所で、イラク人拘束者に虐待を加えたアメリカの女性兵士には有罪評決が下った。