シングルペアレントのうち、母親とその子(児童)からなるひとり親家庭(単親家庭)のこと。母子家庭や母子世帯ともいう。2016年度の「全国ひとり親世帯等調査」(厚生労働省)で、母子世帯は推計123万2000世帯。平均世帯人数は3.29人で、親(祖父母)と同居しているのは27.7%、母子のみの世帯が61.3%。母子世帯となった要因は、離婚が全体の79.5%、死別8.0%、未婚の母8.7%で、母子世帯数は離婚率の上昇に伴い増加している。母親の平均年間就労収入は200万円で、100万円未満(22.3%)と100万円以上200万円未満(35.8%)が6割以上を占めている。生活保護や児童扶養手当などを含めた平均収入は243万円。同居親族の収入を含めた世帯年収でも348万円に留まっており、これは児童のいる世帯の平均所得707万8000円(16年「国民生活基礎調査」)の49.2%の水準で、貧困が深刻化している。母子及び寡婦福祉法改正(03年)により、支援の内容が児童扶養手当中心から母親の就業・自立促進に向けた支援へと転換した。母親の81.8%は就業しており、正規雇用が44.2%。非正規雇用は減少しつつあるが、女性が働いても低収入で自立困難な状況に留め置かれる社会構造が残っていて母子世帯には厳しい現状である。養育費については42.9%が取り決めをしているが、支払いを受けているのは24.3%で、不払いが深刻化している。04年の民事執行法改正により、支払いを義務化するガイドラインが作成され、07年に厚生労働省が「養育費相談支援センター」を創設。寄せられた相談のうち、母親が最も困っているのは家計のこと(50.4%)、子どもについて最も悩んでいるのは教育・進学のこと(56.1%)。