貧困者全体の6割が女性で、1995年の集計以降、「貧困の女性化」が進行している(「国民生活基礎調査」厚生労働省)。2008年末の東京・日比谷公園での「年越し派遣村」以降、ワーキングプア(非正規雇用者の貧困)問題がクローズアップされた。マスコミはこの問題が男性にも及んで初めて取り上げたが、非正規雇用者率は男性21.8%、女性56.7%で女性が圧倒的に多く(14年、総務省「労働力調査」)、「貧困」は女性問題である。女性の貧困は、女性が男性に扶養されて家事、育児、介護を担い家庭を守るもの、という根強い性別役割分担意識に覆い隠されがちだが、所得が国民全体の中央値の半分に満たない者の割合(相対的貧困率)はほとんどの年齢層で女性がより多い。単身女性の貧困率(12年)は、20~64歳で33.3%、65歳以上で44.6%。離婚、死別、非婚によるシングルマザーの貧困問題も深刻。低年金、無年金の高齢単身女性の生活も厳しい(生活保護受給高齢者の7割が単身、その6割が女性。内閣府調査)。女性の職場進出は進んだが、補助的位置付け、低賃金、非正規が多いなどの男女間格差、女性差別温存が貧困につながっている。08年9月、さまざまな貧困問題に直面する女性たちが問題解決を図るため「女性と貧困ネットワーク」を結成した。