「カツマー」とは、大学時代に公認会計士の資格を取得し、外資系金融機関勤務を経て独立、経済評論家としてビジネス書分野で多数のベストセラーを重ねている勝間和代をロールモデルとする男女の自称・他称。資格を生かして活躍するだけでなく、私生活では結婚・離婚も経験し3人の子どもを持つスーパーウーマンが著す具体的勉強法や対人関係での成功術が、自己啓発書として人気を得た。リーマン・ショック以降の厳しい経済状況をいかに生き抜くかと考えざるを得ない20~40歳代の雇用労働者にとってのメンター的存在といわれる。一方、精神科医の香山リカは、臨床経験から、個人的努力では解決できない問題が山積する状況の中で、カツマーとして自助努力をしても成功できず、自分を責めてしまう患者に接し、成功を求めて努力すれば問題が解決するという志向に警鐘を鳴らした。「<勝間和代>を目指さない」ことで「ふつうの幸せ」を得ようと説く著書「しがみつかない生き方」が多くのファン(カヤマー)を得てベストセラーとなった。カツマーとカヤマーは対比的にみえるが、先行きが不透明な競争社会で勝ち負けにこだわりつつ心理的安定を探る現代人は、その両面を求め揺れているといえよう。