男性と女性の現代的特徴を動物に例え、草食系(男子・女子)または肉食系(男子・女子)と表現した造語。前者は他者との競争を好まず、穏やかさ、心地よさを好む人を、後者は仕事、恋愛、結婚など何事にも積極的で、向上心や達成欲求の強い人をさし、草食系男子(草食男子)と肉食系女子(肉食女子)として対比されることが多い。コラムニストの深澤真紀が『平成男子図鑑』(2007年、日経BP社)で、「仕事・恋愛・結婚などに積極的ではなく肉欲に淡々としている男性」を草食男子と命名。一方、大阪府立大教授の森岡正博は『草食系男子の恋愛学』(08年、メディアファクトリー)で、「男らしさからの縛り」がない「新世代の優しい男子」とした。物欲、出世欲、闘争心が少なく、男女平等を重んじデートも割り勘主義で、地球環境、ボランティアに関心が高く癒し系でもある。一方、肉食(系)女子は、仕事、恋愛、結婚を積極的に求め向上をめざす女性をさし、「クーガー女」とも呼ばれる。クーガーとはネコ科の肉食獣ピューマのことで、アメリカ映画「あなたは私の婿になる」から生まれた新語。いずれも伝統的な性役割にもとづく男性像・女性像とは異なるタイプの出現を表している。ただしこれらを「新奇さ」として受け取る根底には、男女のあり方に関して人びとの抱く根強いステレオタイプイメージがある。