震災で生命の危険を感じる状況を体験したり、危機的様相を映像などで見聞きしたことを契機に、結婚相手を真剣に探し求めたり、カップルが結婚未満の関係から結婚に踏み切ること(震災婚)。逆に震災をきっかけに関係性が悪化し、離別・離婚に至ることもある(震災離婚)。東日本大震災(2011年3月11日)直後、結婚相談所への資料請求件数や入会希望者が増加し、婚約・結婚指輪の売り上げが増加、また離婚相談が増加したことなどが話題となった。こうした現象は、阪神・淡路大震災(1995年)や9.11同時多発テロ(2001年)後のアメリカでも起きた。社会全体に人間関係や家族を見つめ直す大きな動きが生じ、支え合えるパートナー探しや、不安や緊張を共有した一体感が結婚を決断させた例がある一方、非常事態に直面した際のパートナーの行動や態度から、価値観の違いが浮き彫りになり、恋人や夫婦関係が破局に向かうこともある。被災地の警察などへのDV相談件数も増加していた。東日本大震災では、地震・津波だけでなく、原子力発電所の事故による放射能汚染に関する対処やエネルギー問題への意見の違いによって、夫婦や恋人だけでなく、友人関係などにも影響が出ている。震災が、直接の被災者だけでなく、幅広い人間関係に影響を与えることを示している。