日本の公的年金制度では加入者は第2号被保険者(給与所得者)、第3号被保険者(第2号の被扶養配偶者)、第1号被保険者(2号、3号以外)に分けられる。妻のうち、夫が給与所得者で自分の年収が130万円未満の者だけが第3号であり、主婦であっても夫が自営業や無職であれば第1号被保険者である。第3号被保険者は保険料を負担せず、第2号被保険者全体と雇用主が折半で負担する仕組みのため、単身女性や共働き世帯などから「サラリーマンと専業主婦」世帯優遇として批判が強い。1961年に国民皆年金が実現した際に主婦は任意加入とされたが、非加入者も多く、自分の年金をもたないまま離婚した女性の老後保障が問題となり、第3号被保険者制度が設けられた(86年実施)。この年金制度は80年代に「サラリーマンと専業主婦」世帯を標準世帯として設計されたものであり、現在の専業主婦の減少(女性の就労化)や非正規雇用者の増大、単身者の増加などの社会変化とミスマッチになっており、公的年金制度を個人単位の設計にするよう求める声も多い。また主婦の収入を被扶養配偶者の範囲に抑えることにつながり、主婦の就労を制約している問題も指摘されている。