経済的・社会的理由で教育を受けることができず、差別を受ける女子の地位と能力向上のため国連が新たに制定した国際デー。2011年12月に国連総会で採択され、毎年10月11日と制定。目的は女子の権利の認知と、困難・問題に対する関心の喚起。第1回(12年)のテーマは「私の人生、私の権利、児童婚を根絶しよう」。子どもの成長発達にも悪影響を与え妊産婦死亡率リスクの高い児童婚は、18歳までの結婚が41%、15歳までの結婚が13%(16年、ユニセフ世界子ども白書)。全世界で20~24歳の3人に1人に当たる約7000万人が18歳未満で結婚しており、22年までに2倍以上になると推計されている(国連)。児童婚は特に農村部や貧困層に多く、女子から教育を受ける機会や権利をはく奪し、暴力や虐待を受けるおそれも高める。早期の望まない妊娠は健康の危険を伴い、しばしば生死のリスクも負う。生まれた子どもが1歳未満で死亡する危険度は、母親が18歳未満の場合は19歳以上の1.6倍。通学は女子の早婚を減少させるため、教育の担う役割は大きいが、ルワンダ、アフガニスタン、カンボジアなどの後発開発途上国では、15~24歳までの識字率は男性77%に対し、女性は69%に留まっている。日本の国際協力機構(JICA)と国連児童基金(UNICEF ユニセフ)は協力し、女子児童が学校へ通いやすくなるよう、アフガニスタンの学校に男女別のトイレを作るなどの支援をしている。12年の国際ガールズデーの2日前、パキスタンで女性の教育の権利を訴えてきた14歳の少女、マララ・ユスフザイさんが通学途中で銃撃される事件がおきたが、イギリスの病院で回復。13年8月、マララさんは国連本部で「本とペンで世界を変えることができる」と演説。14年にはノーベル平和賞を受賞した。第2回国際ガールズデー(13年)のテーマは、「女の子のための教育のイノベーション」、第3回のテーマは「女の子への暴力」(14年)。16年のテーマは、17の目標からなる「持続可能な開発目標(SDGs)」に基づくもので、スローガンは「Girls’ Progress equals Goals’ Progress : What Counts for Girls(ガールズの前進はゴールズ〈=目標〉の前進:女児にとって大切なこと)」、17年のテーマは「EMPOWER girls : Emergency response and resilience planning(女の子に力を:緊急時下の対応と回復力の構築)」であった(ユニセフ)。