単に妊娠に向かうための活動ではなく、女性が望む時に妊娠できるよう妊娠・出産のメカニズムを知り、健康な身体づくりに努めるなど、妊娠に前向きに立ち向かうこと。特に、2012年、「卵子は老化する」「年齢が上がると妊娠しづらくなる」ということが「クローズアップ現代」(NHK)で放映されて以来、多くの関心が寄せられている。晩婚化の影響を受けて出産年齢が高齢化し、第1子を出産した母親の平均年齢が30.7歳と、30歳を超えている(16年、厚生労働省「人口動態統計(概数)」)。20代の出産は減少しているが、30代後半や40代での出産は増加している。国立社会保障・人口問題研究所による出生動向基本調査(10年)では、「不妊」を心配したことがある(または現在心配している)夫婦は31.1%、子どものいない夫婦はこの割合が52.2%に上り不妊が深刻な問題となっている。結婚後15~19年の夫婦で、検査や治療の経験がある(治療中を含む)割合は6組に1組(16.5%、同調査)。不妊治療は身体的、精神的な負担が大きい上に、経済的負担の重さも指摘されていたが、少子化対策の一環で不妊治療への助成金制度が始まっている。晩婚化や女性の社会進出が進む先進国では、不妊は共通の課題。将来子どもを望むのであれば、若いうちから妊娠・出産を含めた人生設計が大切だ。また、望む時期に産み育てることができる職場環境づくり、高齢でも産めるような支援体制の整備が求められている。