主に女性が、親や親戚が認めない相手と交際や結婚をした場合、一族の名誉を傷つけられたとし、家族が女性本人やその相手を殺害すること。女性差別の強い文化を持つ中東や南アジアの国で報告されている。2010年、ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官は世界で毎年約5000人の女性が「名誉殺人」で殺害されていると発表した。特にパキスタンでは、13年に約900件もの事件が起きている。娘の結婚相手は親や親族の男性が決めるという風習の中、親の意にそぐわない相手と恋愛、結婚した場合は、父親に背き一族の名誉を汚したという罪で、女性やその交際相手、配偶者を殺害するケースが後を絶たない。その背景には女性は男性に従うべきであり、女性を従えられない男性は地域社会において男性としての尊厳を失ってしまうという男性優位の考え方が現存し、殺害しても法的な処罰を免れる場合もある。NGOなどが問題解決のための取り組みを行っているが、男性優位の考え方を変えていく人権教育と、名誉殺人を犯したものを罰する法制度の整備が至急求められる。