親の介護と子育てを同時期にする状態のこと。晩婚化や晩産化、さらに長寿化が進むにつれて、子育てと高齢化した親の介護を行う時期が重なる状況が発生しており、特に女性がその負担を担っていることが多い。ダブルケアの推計人口は25万人(男性8万人、女性17万人)で、年齢階層別にみると男女ともに30~40歳が8割を占める(2016年、内閣府)。ダブルケア人口のうち、半数は有業者で、無業者でも6割は就業を希望している。夫の看護など、さらなる要素が加わってトリプルケアの状態になることもある。大学生以下の子どもを持つ母親を対象にした保険会社の調査によると、過去に経験または現在直面している母親が約8%、数年先に直面しそうだと考えている母親が約14%いた。経験または直面している人に介護と子育ての公的支援サービスが十分かどうか尋ねると、どちらについても80%以上が不十分との回答であった(15年8月、ソニー生命保険)。今後超高齢社会が深刻化するため、男性や女性の働き方、政府や企業による介護支援や子育て支援の在り方、行政の担当部署の統合など、ダブルケアへの対応が早急に求められる。特に共働き家庭では女性にその負担が多くかかり、ダブルケアによる離職も企業にとっては大きなリスクである。15年7月、東京商工会議所がダブルケア問題を考える交流会を開催した。当事者への精神的支援が求められる中、研究者や当事者、子育て支援関係者などで構成される任意団体「ダブルケアサポート横浜」は、当事者に寄り添う支援者養成の取り組みを始めた。ダブルケアを行う人が行政などに望む支援策は、主なもので、男性の23%が「保育施設の量的充実」、女性の26%が「育児・介護の費用負担の軽減」、男女ともに18%が「子育てのために一定期間休める仕組み」だった(16年、内閣府)。