育児参加のために育児休暇取得や短時間勤務をしようとする男性に対する嫌がらせや不利益な扱い。パタニティーは父性を意味する。2014年の日本労働組合総連合会(連合)の調査では、パタニティーハラスメントを受けた経験者が11.6%、周囲に経験者がいる人が10.8%だった。主な被害内容は、制度利用を認めてくれない、「育児は母親の役割だ」「育休を取ればキャリアに傷がつく」などと言われた、制度を利用したら嫌がらせをされた、など。このほか、被害を受ける以前に、誰にも相談せず、子育てのための制度利用を諦めた人が多くいた。パタニティーハラスメントが起こる主な原因は、上司や同僚の理解不足・協力不足、制度の設計・運用の徹底不足、性別役割分業意識など。育児休暇取得や勤務時間短縮など、政府が目標にあげるほど男性の育児参加が進まない背景には、職場でのパタニティーハラスメントの存在がある。職場での、上司たちを中心とした意識改革が求められている。「イクメン」という言葉を広めたNPO法人ファザーリング・ジャパンが「イクボス企業同盟」を立ち上げた(14年)。仕事と生活を両立し、部下のためにもその環境づくりを支援するような新しい上司を増やそうとする取り組みで、全国で46社が加盟(15年)。