2017年10月、インターネットなどを介して世界的に広がったセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)や性暴力被害の告発運動。アメリカのハリウッド大物プロデュ-サーのハーヴェイ・ワインスタイン氏が、数十年間にわたり俳優やスタッフにセクシュアル・ハラスメントや性暴力を行っていたことを、ニューヨークタイムズなどが暴露したことが発端。被害を受けた女性が、同じ被害経験があるなら「私も(me too)」の声を上げて欲しいとネットで発信したことで急速に拡散した。この問題はアメリカ政界にも拡大し、民主党や共和党議員のセクハラ疑惑が浮上して議員らは辞意を表明。トランプ大統領も、複数の女性から過去の被害を告発されていた。芸能界では、ゴールデン・グローブ賞授賞式で女性たちが、「(性暴力は)もう終わりにしよう(time’s up)」と、性暴力に対する抗議の意志と被害者との連帯を示すために黒一色のドレスで出席。グラミー賞授賞式では、参加者は「希望・平和・同情・抵抗」を意味する白いバラを身に着けようと呼びかけられた。日本では、貧困や性的搾取に苦しむ少女らを支援している、元厚生労働省事務次官の村木厚子氏が幼少期の被害体験を公表した。日本の性犯罪対策としては、110年ぶりに見直された性犯罪厳罰化などを含む改正刑法が、17年7月から施行。また、政府は20年までに、性被害を受けた人たちが、速やかに産婦人科やカウンセリングの受診や、警察や弁護士への連絡など、総合的な支援を一カ所で受けられる「ワンストップ型施設」を各都道府県に設置する方針を決めている。