「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の通称。2015年8月に国会で成立し、16年4月から施行されている10年間の時限立法。働く場で女性が個性や能力を十分発揮できるよう環境整備していくために制定された。労働力人口減少が進む中、女性の社会進出が経済成長の維持には不可欠だとする安部晋三内閣が、「女性の活躍」を成長戦略の柱に据えた。日本の女性労働力率は約50%と先進国並みにはなったが、女性管理職の比率はきわめて低く、GGI(ジェンダー・ギャップ指数 gender gap index)が下位にとどまる理由になっている(17年の日本のGGIは0.657で、144カ国中114位)。こうした現状に対して、20年までに指導的地位における女性比率を30%に引き上げるという目標を設定し、その目標達成のための重要法案だという位置づけであった。従業員301人以上の事業主には女性登用の数値目標や女性活躍推進に向けた行動計画の策定・公表が義務づけられ、300人以下の事業主には努力義務が課せられた。具体的には、事業所内の女性の活躍に関する状況を把握して課題を分析し、その課題解決のための行動計画を策定し、労働局へも提出。その内容を事業所内で周知させることや外部へ公表するなどが定められている。女性の採用や管理職への登用比率を上げ、労働時間の調整で女性の勤続年数を延ばしていくなどの実行が迫られることになった。優良な取り組みの実施が認められれば、厚生労働大臣から認定を受けることができる(通称「えるぼし」認定制度)。