第二次世界大戦後のイギリスの社会保険のあり方を検討するために設けられた委員会が、1942年に発表した「社会保険及び関連制度」と題する報告書。委員長のベバリッジは、与えられた課題を越え、社会保障のあるべき体系を提示した。報告書の特徴は、(1)拠出と引き換えに給付が受けられる社会保険であらゆる貧困を解決する社会保険中心主義、(2)すべての保険事故と、すべての国民を対象とする、包括的・一元的な社会保険、(3)必要最低限度の生活費を全国民に一律に保障するナショナル・ミニマムの原則、(4)定額給付をまかなうために定額の保険料を徴収する定額制(フラット制)の原則、(5)完全雇用政策を通して失業を減らし、児童手当制度を設けて有子低賃金世帯の所得を確保し、包括的な保健医療サービスを設けて受診時に医療費がかからないようにするという、社会保障の三つの前提などである。