一般に社会保障の規模は、一人当たり国民所得の上昇や高齢化とともに大きくなるが、その国の福祉に対する考え方も影響する。アメリカのように、公的扶助など貧しい人だけに資源を集中する選別的な制度の役割が大きな国と、西ヨーロッパのように、必要なサービスや給付を貧しいかどうかに関係なく提供する普遍的な制度の役割が大きな国とで差がある。後者はまた、主に職場などの社会保険を通して年金や医療を提供するドイツやフランスなど社会保険方式の国と、主に税金を財源にして平等に年金や医療を提供する北欧やイギリスなど税方式の国とがある。税方式の国は、北欧の高福祉高負担型とイギリスの中福祉中負担型に分かれる。日本は、社会保険方式の国に属するが、社会保障の規模は大きくない。