医療機関の架空請求防止をねらいとして始まった医療費通知は、今ではすべての保険者が行うようになった。その後、患者の立場から、より詳しい診療報酬明細書(レセプト)の開示を求める運動が展開され、厚生省(当時)も1997年にレセプト開示を認めるよう都道府県に通知したが、医師の了解の手続きが必要で、利用はのびていない。2010年度からは、保険者に対して電子請求している全医療機関について、原則無料で明細付きの領収書を患者に発行することが義務づけられるようになり、明細書の開示は一気に普及することになる。医療記録そのものであるカルテの開示を求める声も高まり、医師や病院の側からもインフォームド・コンセントに基づく医療を進めるために、カルテ開示を積極的に進める例も出てきた。患者に開示された電子カルテを地域の医療機関相互で共有するシステムも動きだし、救急病院の当直医が初めての患者の病歴を見ながら治療ができたり、初診ごとに同じ検査を繰り返す無駄もなくしている。2005年4月からは、個人情報保護法の全面施行を受け、患者はカルテを開示請求できることになった。