介護事業で全国展開していたコムスンは、各地の事業所で、架空のヘルパーで指定申告をしたり、常勤管理者の配置を偽って介護報酬を受けるなど、不正が発覚していたが、当該事業所の指定取り消し処分を受ける前に自主廃業して、処分逃れを繰り返していた。こうした事態を受け、厚生労働省は2007年6月にコムスンの事業所の新規及び更新指定の不許可処分を発表した。これを受けてコムスンは介護分野から撤退することになった。介護保険が発足し、増加するサービス需要を賄うために営利企業の参入も図りながら急激な供給体制の整備が進められたが、それとともに不正請求等で指定の取り消しを受けた事業所も増えるようになり、またサービスの質の改善も課題となっている。問題の背景には、市町村が事業所に支払う介護報酬の単価が3年ごとの改訂のたびに低く抑制され、それが介護職員の低賃金と、介護職の不安定化を招いてきたことがある。