被保険者証(保険証)は、保険料の支払いを前提に交付される。サラリーマンなどは会社を通して健康保険に加入し保険料は賃金から差し引かれるので保険料を払い忘れることはないが、自営業者や失業者などは自分で保険料を支払う手続きをして市町村の国民健康保険に加入する必要があり、保険料を滞納したりすると保険証の返還を求められる。こうした場合でも、被保険者が保険に基づく医療が受けられるように発行されるのが、被保険者資格を証明するための証明書「国民健康保険被保険者資格証明書」である。受診医療機関で資格証明書を提示すると、公定料金の保険診療を受けることができるが、患者は窓口で医療費を全額払う必要がある。そして、保険者に滞納していた保険料を支払うと、医療給付(保険が給付する医療費部分)が払い戻される。2008年に、保険証のない世帯に多くの子どもが含まれていることが問題となり(無保険の子ども)、09年度より保険証のない世帯であっても、中学生以下の子ども(08年9月で約3300人)については、子どもの名前の短期被保険者証(半年ごとに更新)が発行されることになった。さらに10年7月には、高校生にまで対象が拡大された。