児童福祉法により都道府県(指定都市を含む)に設置が義務づけられ、児童福祉司、児童心理司、医師、保健師などの専門職員を擁する行政機関。近年、児童虐待など児童(児童福祉法でいう児童は18歳未満)を巡る問題が深刻化する中で、問題を早期に発見し、防止するための児童相談所によるきめ細かな対応とその機能強化が求められている。相談件数が大幅に増加する中、2010年の国の調査では、児童相談所の児童福祉司の9割以上が業務に負担を感じていると回答しており、人員不足が問題となっている。業務負担の理由は「指導に従わない保護者の対応に苦慮」や「受け持つ件数が多すぎる」などが多い。虐待防止機能の強化としては、07年の児童福祉法の改正で、児童の安全確認等のための立ち入り調査等の強化、保護者に対する施設入所等の措置のとられた児童との面会や通信等の制限強化、児童虐待を行った保護者が指導に従わない場合の措置を明確にする規定整備などがなされた。さらに、11年5月、親権を制限しやすくするため、家庭裁判所の判断で親権を2年間まで一時的に停止できるよう改める民法の改正案が可決・成立した。これまでは親権を無制限に奪う親権喪失しかなく、親族や検察官あるいは児童相談所もなかなか申請できなかった点を改めたもので、施設で保護されている子どもを親が連れ出そうとするのを防ぐなど、虐待に対する迅速、柔軟な対応が期待できる。