児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護できるよう、親権を一時停止する制度。親による子どもの虐待を防ぐため、家庭裁判所が親権の喪失を宣言する制度はあったが、親権喪失制度には期間の定めがなく、親権の回復が困難なため活用しにくい問題があった。2011年5月に成立した民法改正で、家庭裁判所は2年以内の範囲で親権を停止できることになった。この改正で、親権喪失の要件を「虐待または悪意の遺棄など子の利益を著しく害するとき」と限定する一方、親権停止の要件を「親権の行使が困難または不適当であることにより子の利益を害するとき」として適用を柔軟にするとともに、家庭裁判所への申立人の範囲も、これまでの親族、検察官、児童相談所長から、虐待された本人や未成年後見人、未成年後見監督人まで広げられている。施行は12年4月1日。