判断能力が十分でない成年者(認知症高齢者、知的障害者等)が、財産管理(契約締結・費用支払いなど)や身上監護(施設や介護の選択など)についての契約などを行うのが困難な場合や、悪質商法の被害などにあった場合に、これらの人々を守るための制度。(1)後見(精神上の障害により判断能力を欠く状況)と保佐(精神上の障害により判断能力が著しく不十分)の2類型についても、本人の自己決定尊重の観点から成年後見人と保佐人の代理権や取消権に一定の制限がある。(2)補助類型(判断能力の障害が上記2類型に至らない軽度の状態)では、保護の内容と対象行為の範囲の選択が本人の申し立てまたは同意に基づくことになっている。以上の後見、保佐、補助の3類型は、現在、判断能力が十分でない場合に該当し、「法定後見制度」と呼ばれる。(3)判断能力のある時に任意後見人を選任して自分の希望を表明しておき、能力がなくなった後に本人の意向を尊重して支援に当たる任意後見制度もある。申し立て人は、本人の子ども、配偶者などが全体の90%近くを占めている。市町村長も申し立てできるがまだ少数。なお、福祉サービス利用や日常的な金銭管理に関しては、自立生活支援事業(地域福祉権利擁護事業)により社会福祉協議会で行われている。