孤独死とも言われる。内閣府の高齢社会白書(2010年版)では、「誰にもみとられることなく息を引き取り、その後相当期間放置される悲惨な」状態とされている。東京都監察医務院のデータによれば、東京都23区内における65歳以上の一人暮らし高齢者の自宅での死亡者数は、02年の1364人から09年の2194人へ1.6倍に増加している。これらの死亡者の中に孤立死が含まれていることは確かで、その増加がうかがわれる。しかし、孤立死は、その背後にある高齢者の社会的孤立問題の氷山の一角に過ぎない。「社会的孤立」を「家族や地域社会との交流が、客観的にみて著しく乏しい状態」と見なして、調査した結果(同上「高齢社会白書」)によると、「日頃の会話が少ない」高齢者は、一人暮らし(とくに男性)、健康状態が良くない、未婚や離別、暮らし向きが苦しいなどの人に多かった。孤立死や閉じこもりを防ぐための見守りや声かけの活動が、市町村・社会福祉協議会や地域の自治会などによって取り組まれ始めている。しかし、高齢者の社会的孤立問題に対しては、こうした事後的な対策だけでなく、高齢期に至る過程で孤立状態になる背景にある家族・職業・地域関係などの要因に即した広範な社会的施策が必要である。