老人福祉法に規定された老人福祉施設の一種で、65歳以上で身体的・精神的に障害があるか、住宅等の環境上の理由または低所得等の経済的理由のために居宅での生活が困難な人が入居する施設である。サービス内容は、食事、住居、生活全般の支援が基本である。入居は、費用を市町村が負担するため、市町村による行政措置によって決まる。利用者負担は、本人の収入および扶養義務者の課税程度に応じて決まる。施設数(全国、2011年10月1日現在)は893で、近年減少が続いている。同ホームの現状と課題は、(1)高齢化の進展にともなう介護ニーズの高まりや認知症への対応、(2)身体障害や精神疾患を持つ人や刑務所等からの社会復帰者の受け入れの増加などへの対応が求められている。(1)の対応については、介護保険の外部サービス利用型特定施設の指定を受けることによって介護保険サービスが提供される。(2)の対応については、障害者総合支援法(13年4月1日施行)に基づくサービスの提供等が今後の課題である。この他、同施設が設置されていなかったり、予算不足のために自治体が新たな入居を控える「措置控え」が見られたりする地方自治体の課題も大きい(05年度以降、地方への税源移譲によって養護老人ホームの費用は市町村の全額負担になった)。