日中に介護保険の通所介護(デイサービス)を利用し、夜そのままそこに泊まるサービス。家族の介護負担が軽減できるとして都市部を中心に増えている。介護保険外で提供されるので、全国一律の制度的な基準がない。このため、利用料、宿泊室の広さや構造、防火対策などが事業所によって大きく異なる。厚生労働省が2011年度のモデル事業の実施に当たり、事業所が守るべき基準を、(1)利用回数の上限は月4回、連続して宿泊できる日数は最長で2泊3日、(2)宿泊部屋はパーティションで区画を設け、利用者の安全やプライバシーに配慮する必要があるなどと例示した。このモデル事業の実施事業所を対象とした調査の結果では、(1)一つの部屋をパーティションなどで区切って宿泊スペースを確保している事業所が90%あった一方で、個室を提供している事業所が45%あった、(2)勤務ローテーションの課題に関して「緊急の対応は困難」が50%、「夜勤に従事しようとする職員が少ない」が45%の事業所に見られた、(3)経営面の課題に関して「コストパフォーマンスが悪く事業として成立するか疑問」と答えた事業所が45%あった(ともに複数回答含む)。厚生労働省は、利用者の家族らがサービスを比較できるよう、2015年度からお泊まりデイの事業を届出制とするとともにネット上で情報の公表を進める方針である。なお、東京都、大阪府、愛知県、千葉県などは、独自の基準や指針を策定している。