本来は障害予防の意味であるが、最近は介護保険給付の増大を防ぐことに関連づけて、要介護状態になることの予防やその軽減もしくは悪化防止の意味で使われている。介護保険での介護予防は、要介護認定により「要支援1または2」に認定された高齢者に対する「予防給付」と、要介護・要支援と認定されていない高齢者への「介護予防事業」に分かれている。「予防給付」は、地域包括支援センターを通して作成される介護予防ケアプランに基づく保険給付としてのデイサービス、訪問介護、福祉用具給付などであるが、その給付内容は、介護予防を取り入れた2006年の介護保険改正以降、それ以前の要支援者への給付に比べかなり制限的になった。後者の介護予防事業は、基本チェックリストにより「要支援・要介護となるおそれのある者」と判定された人に対する「二次予防事業」と、それ以外の高齢者全般に対する「一次予防事業」に分かれている。「二次予防事業」には、保健センターや公民館などに通って利用する運動機能向上プログラム、栄養改善プログラムのほか、閉じこもりや認知機能低下等の人への訪問型の対応がある。「一次予防事業」には、介護予防普及啓発事業(講演会、介護予防教室の開催、など)と地域介護予防支援事業(ボランティア育成、自主グループ活動支援、など)がある。介護予防事業は市町村に実施が義務付けられている。厚生労働省は、今後の介護予防のあり方について、「単に高齢者の運動機能や栄養状態などといった心身機能の改善だけを目指すのではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を促すといった環境へのアプローチが重要である」としている。