人間が人間としての尊厳を保って死に臨むことを意味する。医療での具体的手段とされるのは、生命維持治療の差し控え、または中止である。一方、「安楽死」は、医師など第三者が薬物などを使って患者の死期を積極的に早めることである。どちらも「不治で末期」「本人の意思による」という共通の前提はあるが、意味はまったく違う。日本では、尊厳死を望む患者の事前指示(リビングウィル、生前の意思)や、それに従って治療を中止した医師の免責を規定した法律はない。2012年には国会議員連盟による「尊厳死」法案が話題になったが、まだ一度も提出されていない。問題点としては、(1)「終末期」の定義をどうするか、(2)生命維持治療の差し控え、または中止の前提として患者の意思表示が原則となっているが、その意思表示ができない場合などの家族の役割をどうするか、などがある。また、安楽死合法化の第一歩になりかねない、急速な高齢化による医療費の膨張を抑制する手段になる、などの懸念も出ている。