離婚などの婚姻の解消等から300日以内に生まれた子は、婚姻中に妊娠したものと推定されるので(民法772条2項)、前夫の子どもと推定される(同条1項)。夫が嫡出否認の訴えを提起しうる期間は制限されているから(民法774条)、その期間を過ぎると夫は父子関係の存在を覆すことができなくなり、たとえば夫に子の扶養義務があることが確定する等親子間のさまざまな権利義務関係が早期に定まる。しかし、この規定が存在するために、前記期間内に前夫を父としない出生届が受理されない事態が生じていた。そのため、法務省は2007年5月に、妊娠したのが離婚後であることを医師が証明すれば、父を記載しない非嫡出子または再婚後の夫の子として出生届を受理するように全国の市町村に通達した。なお、出生届が受理されなかった無戸籍児であっても、児童手当、乳幼児検診等の行政サービスを受けられることを厚生労働省は同年3月に全国の市町村に通知している。