国籍とは、個人が特定の国家の構成員である資格を言う。国籍には国際法上の効果と国内法上の効果とが存在する。国際法上の効果としては外国にある自国民に関する国家の外交的保護と、他国の領域に在留することを許されない自国民の自国領域への受け入れ義務がある。国内法的機能として、国民と外国人とで権利・義務が国内法上異なることがある。国籍の決定は各国の国内管轄事項とされ、わが国では国籍の取得・喪失等は国籍法に規定されている。その取得について、世界的には血統主義と生地主義とが存在し、わが国の法律は血統主義を原則として採用し、出生時に法律上の父母のいずれかが日本国籍であれば、子は日本国籍を取得することができる(国籍法2条1号)。また、胎児の時点で日本人である父が認知をしていた場合、出生後両親が婚姻・認知して嫡出子となった20歳未満の子について届出がなされた場合(国籍法3条1項)も同様である。父からの認知が出生後であった場合には、法律上は日本に住所があれば国籍が取得できる簡易帰化(国籍法8条1号)が認められるにすぎず、国際的機関である自由権規約委員会、児童権利委員会から国籍に関する婚外子に対する差別に懸念が表明されていた。2008年6月4日の最高裁判所大法廷判決は国籍法3条1項の規定を違憲とし、両親の婚姻がなくとも出生後両親が婚姻・認知して嫡出子となった場合の要件を満たせば子は国籍を取得できるとした。最高裁の判断に沿った国籍法の改正が08年の臨時国会で成立した。