被疑者の同意を得て、公訴提起と同時に検察官が申し立て、裁判所の決定を経て行われる簡易・迅速な裁判手続き(刑事訴訟法350条の2以下)。法定刑の下限が1年の懲役・禁固よりも軽い事件で、被疑者が罪を認め、事案が明白・軽微であり、証拠調べが速やかに終わることが見込まれる場合に行われる。手続きが開始されれば、即日判決することが原則とされ、証拠調べは簡略化され、伝聞法則も適用されない。懲役・禁固の言い渡しの場合には、必ず執行猶予にしなければならない。判決に対して、事実誤認を理由とする控訴の申立てやこれを理由とする控訴審での原判決の破棄は許されない(403条の2)。このように被告人の権利が制限されるため、被疑者の同意は書面によることとし、検察官の申し立てがなされた場合に、被告人に弁護人がいなければ、裁判所は職権で弁護人を選任する。即決裁判手続きによるかどうかの審理と即決裁判手続きには、必ず弁護人が立ち会わなければならない。最高裁判所はこの手続きの合憲性を認めている。なお、この手続きは裁判員が加わる刑事裁判と同時に採用され、裁判員が加わる刑事裁判に伴う裁判所の負担の増加はこの手続きによって軽減されることになる。