検察事務を行うために検察官や検察事務官が働いている法務省の特別の機関。検事総長の指揮命令に従って行動する。検察官は、警察から送検された被疑者を、必要な範囲で取調べ、起訴・不起訴を決め、刑事裁判の一方当事者として裁判所で公判活動を行う。検察官の部下として、事件の取調べやその他必要な一般事務を行うのが検察事務官であり、国家公務員試験合格者から採用される。検察庁が特別なのは、法務省の職員でありながら法務大臣によるコントロールが制限されている点である。すなわち、法務大臣は、検事総長に指揮できるのみで、個々の検察官に個別の指揮を行うことはできない。起訴や公判活動に政治的影響を及ぼさないためと考えられる。このような「検察権の独立」は、戦前の検察官僚が政党政治を警戒して検察庁法に盛り込ませたといわれる。しかし、日本国憲法が検察に認める独立性は限定的である。司法権には強い独立性が保障されており(憲法76条3項)、検察官は司法権と深くかかわりをもつので、司法権の独立を確実にする一環として、その独立性が認められるにすぎないのである。行政官たる検察官が民意とは独立して職務行使することは、憲法の想定するところではない。