後見人とは、判断能力に問題があるために1人で契約などの法律行為ができない人を法的にサポートする人のこと。たとえば、未成年者は、自分1人では利害関係をきちんと判断できないことが少なくない。放っておけば、自分のゲームソフトを安く売ったり、高い携帯電話を申し込んで不利な契約を結び、自分の財産を使い果たしてしまったりするおそれもある。そうならないように民法は、未成年者が1人で契約を結んでも、それを後から取り消せることにし、完全に有効な契約を結ぶには「法定代理人の同意」が必要と定めている。未成年者の法定代理人には、通常は親権者、つまり両親が就く。しかし、両親をともに亡くした場合は後見人が法定代理人になる。後見人は、親権者の遺言があればそれに従って選ばれるが、指定がなければ、未成年者自身やその親族の申立てにもとづいて、家庭裁判所が選ぶ。2011年3月11日に発生した東日本大震災によって両親を亡くした未成年の子どもたちは、現実には生命保険金を受けとることができなくなる事態がおきた。保険金を受けとることにも法定代理人の同意が必要だが、突然の事故で両親を失った子どもたちが、独力で家庭裁判所に後見人を選ぶ手続きを申し立てることは難しいからである。そのため、生保会社、弁護士会、自治体が連携して「未成年者生保支援ネットワーク」をつくり、支払い手続きの相談先やその他の震災孤児への支援事項等に関する相談先等の紹介などを行っている。