暴力団による暴力的要求を規制することによって、市民生活の危険を防ぐことと、暴力団の社会的影響力を弱めることを目指すのが暴力団対策法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律/暴対法)。一方、各自治体で定められるものが暴力団排除条例(暴排条例)である。2011年8月、人気タレントの島田紳助氏が、暴力団関係者とメールのやりとりや面会をしたことを理由に芸能界引退を表明した。メールや面会だけならば違法ではないが、もし何かのトラブル解決を暴力団関係者に頼み、暴力団に求められた金品要求に応じたりすると、暴対法に違反する。暴対法は1992年3月に施行された法律であり、指定暴力団の構成員が法で禁じた暴力的行為を行ったときに、公安委員会は中止命令や再発防止命令を出すことを通じて、市民生活の安全を守る法律である。さらに2010年以降、各自治体では暴力団排除条例を制定する動きが広がっている。そこではたとえば、地主や不動産屋が暴力団に事務所などの不動産を貸さないこと、あとでそれがわかったら解約できること等が定められている。こうして市民を暴力団から遠ざけることで、その影響力を弱めることが目指されている。東京都の暴力団排除条例では、「暴力団関係者」を「組員と密接な関係」のある者にまで広げて捉えていることが注目される。従来から芸能界が暴力団のシノギ(金もうけの方法)になってきたことから、日本民間放送連盟は東京にある民放各局に条例遵守を求めるなどして、暴力団排除の動きを強めている。