震災で家や工場などを失った被災者が、もともとの借金返済に加え、事業再建のために新たな借金をすることによって返済負担が重くなる問題。東日本大震災の被災者には、自社工場や住宅のローンを返済中だった人が少なくない。震災で自社工場や住宅を失いながらその借金を返済していくには、新たに工場を建てて事業を再建しなければならず、さらに借金を重ねるほかはない。こうして、従来の借金に加え、新たに別の借金をすることを二重ローンという。二重ローンによって返済額が極端に重くなることが問題になっており、阪神・淡路大震災では、負担が重すぎて自己破産した人もいる。これを救済するために2011年11月に、二重ローン救済法(東日本大震災事業者再生支援機構法)が成立した。政府が東日本大震災事業者再生支援機構(株式会社)を設立し、金融機関がもつ事業者への債権をこの法人が買い取ること、最長で15年間、元本・利子の返済を免除することを主な内容とする法律である。債権が回収できなくなったときでも、それをすべて税金で賄うのではなく、債権を売った金融機関にも一定の負担を求めることにしている。