特措法(特別措置法)・特例法は、現行法では適切に対応できない一定の事項に特別な取り扱いをすることを予定した法令である。イラク特措法、震災特例法、熟慮期間の延長特例法などがある。たとえば、2003年に制定されたイラク特措法は、自衛隊を海外に派兵する法令がなかったため、非戦闘地域への自衛隊派兵手続きを特別に定めて合法化したものである。また、起きた事態に対して現行法では適切に対処できないときに、現行法の一部を変更する趣旨で定められることもある。たとえば、東日本大震災において、相続放棄等の熟慮期間を3カ月とする現行民法では、被災した相続人に酷な結果を招くため、熟慮期間の延長特例法では、一定の要件を満たす相続人の熟慮期間を2011年11月30日まで延長した。同じく、国税関係の震災特例法では、被災者が住宅や家財などに生じた損失について、所得税の雑損控除規定を適用することとした。所得税法に対する特例を定めたものである。このように特措法・特例法は、一定の事項に特別な取り扱いをする法令だから、被災者・被災地以外の一般の場合には、一般法である民法や所得税法が従来どおり適用されることに注意が必要である。