合理的期間が過ぎた時に示されるのが違憲判決、過ぎていないときに示されるのが違憲状態判決である。選挙区間で投票価値が不平等であるとして選挙無効を求める裁判が起こされたとき、訴えを受けた裁判所は、第1段階として、選挙区割りが法の下の平等に違反するかを判断する。違反しなければ合憲判決が示される。違反するときは第2段階として、不平等状態が放置されて「合理的期間」が過ぎているかを判断する。過ぎていれば違憲(違憲違法)判決が、過ぎていなければ違憲状態判決が、おのおの示される。どちらも違憲判決だが、前者は、公選法の区割り規定を違法とするのに対して、後者は違法ではないとする。「合理的期間」の経過が必要なのは、国会が公選法の区割り見直し作業に着手してから完成させるまでに一定の時間がかかるからである。違憲違法判決が示された場合はもちろん、違憲状態判決でも、国会はすぐに区割り見直しに着手しなければならない。着手しないで「合理的期間」がたてば違憲違法になる。