確定裁判を経ていない2個以上の罪のこと。たとえば、AがBを殴って金を奪い、翌日にC宅に忍び込んで宝石を奪った後、逮捕・起訴されたとき、Aの強盗罪と窃盗罪は併合罪になる。併合罪で有期懲役・禁錮に処するときは、その最も重い罪の刑の長期を1.5倍したものを長期とすることになっている。Aの裁判では、強盗罪の法定刑(法律で定められている刑)が5年以上20年以下、窃盗罪は1月以上10年以下なので、刑の長期は強盗罪の「20年」を1.5倍した30年となり、結局「5年以上30年以下の刑」の範囲で処断されることになる。なお、勤務中の警察官を包丁で切りつけた場合のように、「1つの行為」によって公務執行妨害と傷害の2罪を犯した場合(観念的競合)や、住居侵入と窃盗のように「手段と結果の関係」に立つ2罪の場合(牽連犯(けんれんはん))は、確定裁判を経ていなくとも併合罪とは別の処理がなされる。