判決確定後でも、審理手続きに法令違反があったり、認定事実に誤りがあるときには非常救済手段が執られる。前者の裁判を非常上告、後者を再審とよぶ。通常は、裁判所が下した判決が確定すると上訴できなくなる。たとえば、地裁で有罪判決が示されてから当事者が控訴しないで2週間が過ぎれば、高裁などで再審理をしてもらうことができなくなる。いつまでも上訴できると事件に結着がつかないからである。ただし、判決確定後でも、審理手続きの法令違反や、認定事実に誤りがある疑いがある場合には、事件を結着させるよりも裁判をやり直したほうがよい。そこで刑事裁判では、判決確定後でも、審理手続きに法令違反があることを理由としたやり直し裁判として非常上告を、また、認定事実に誤りがあることを理由としたものとして再審を、それぞれ置いている。非常上告は、検事総長が申し立てを行い、裁判を行う裁判所は最高裁判所とされている。非常上告は、交通反則金を巡る警察のミスが相次いだ2010年では253件に上ったが、1995~2009年は年間0~15件にとどまっている。