国会に責任を負う大臣(文民)によって軍事権をコントロールし、軍が独走しないようにする仕組み。憲法66条2項は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」とする。明治憲法では、軍の作戦用兵(軍令)は天皇大権の一つとして、議会はもちろん大臣の助言(輔弼(ほひつ))がなくとも軍が自由にできた。これを反省し、憲法は内閣のメンバーが全員文民であることを求めた。「国防軍」創設の是非にシビリアン・コントロールの議論は必ず登場する。その際、文民の大臣を置きさえすれば軍事権が十分に統制されるとは限らないことに注意する必要がある。軍事の専門知識をもつ政治家は少ないからである。そこで、他の民主的統制手段として、議会(国会)が統制する方法も考えられる。しかし、議事を公開すればもちろん、不特定の議員に防衛秘密が知れ渡れば、防衛が不十分になるおそれもある。そこで、ドイツの軍隊のように機密事項については非公開で議論したり、緊急事態ではミニ議会で議決できるなどの方法を検討する必要がある。