市民と行政との間のトラブルを解決するための裁判。原子力発電所の安全性や、パチンコ店への営業許可を争うのに使われる。ただ、裁判を起こせるのは行政とのトラブルのすべてというわけではない。たとえば、許可処分を争うには「原告適格」という資格が必要である。最高裁は、高速増殖炉もんじゅの設置許可を巡る争いで、原子炉から29~58キロ内に住む人だけに原告適格を認めた。また、風俗営業法(風営法)などが禁止する場所へのパチンコ店の営業許可処分については、医院の経営者に認めつつ、近隣住民には認めなかった。憲法は裁判を受ける権利を保障している(32条)。裁判所は裁判を拒否できないのである。そのため、原告適格など裁判を起こすための条件を厳しくしすぎると、裁判を受ける権利を侵害することになる。そこで2004年に行政事件訴訟法が改正され、取消訴訟の原告適格を拡大したほか、裁判を起こすタイムリミットである出訴期間を延長したり、起こせる裁判の種類を増やしたりなどの措置がとられた。