健康で文化的な最低限度の生活水準を営むことができるように、国に要求する権利。憲法25条1項が保障している。最近、ワーキングプアや貧困の問題が未解決のまま、財政上の理由から、生活保護の支給額を減らす動きが見られる。しかし、軍事予算と社会保障とは予算編成上、「大砲かバターか」という二者択一になりやすい。「財政上の理由」というときに軍事政策との関係に着目する必要がある。また、生活保護費を支給する際に「クーラーはぜいたく品だから買ってはいけない」というように使い道の自由を奪うことも、人間らしい生活を否定することにつながる。もっとも他方で、この権利は、社会的経済的弱者が、おのおの自立できるようになるまでの「支援」をするにとどまるものである。国民が、支援を越えて政府に依存するようになれば、権力が国民生活の細部に介入し、国民の自由は有名無実になるおそれすらある。