差別的意識を助長・誘発する目的で、危害を加えたり著しく侮蔑するなどして、地域社会からの排除をあおる「差別的言動」の解消を推進する法律。2016年5月成立。表現の自由は民主政治における重要な人権であり、特に表現内容に着目した規制はとりわけ慎重さが求められる。本法が差別的言動への罰則や禁止規定をもたないのはそのためである。反面、差別解消のための教育や相談体制の整備などを国の責務とし、自治体にもその努力義務を課すなど、取り締りではなく対策を主目的とする。法務省によれば、「○○人は殺せ」などの脅迫的言動や、ゴキブリにたとえるなど著しく侮蔑する言動、「○○人は強制送還すべきだ」などが「差別的言動」とされる。その判断にあたっては、言動の背景や前後の文脈などの諸事情に照らし、そこにどのような意味が含まれるか考慮すべきとしている。