携帯電話やパソコンで読むための小説やコミックへのアクセスが急増している。これらを販売する電子書店も急増し、百社を超えた。また電子書籍をインターネット上の電子書店に卸売りする電子取次事業も拡大している。新潮社は2002年1月「新潮ケータイ文庫」を開始、連載小説はアクセス数が減ると打ち切りになり、無事完結すると単行本として刊行するという企画も行った。00年からケータイ向け「雑誌」を配信してきた集英社も04年7月、ケータイ向けの文芸サイト「theどくしょ」を人気作家の短編の再掲載を中心に創刊した。モバイルブック・ジェーピーの「どこでも読書」、シャープの配信サイト「スペースタウンブックス」などもある。電子コミックの分野では、「イーブックジャパン」、「Yahoo!コミック」など、携帯電話向けのサイトではNTTソルマーレの「コミックi」「コミックシーモア」などがある。また辞書業界でも、インターネット版の出版が盛んである。06年11月には、ケータイ小説を対象にした日本初の文学賞として「第1回日本ケータイ小説大賞」の受賞作が発表された。応募された2375作品から選ばれたもの。ケータイ小説はいずれも作家志望ではない普通の若者が書き手となり、読者との双方向的なやり取りの中でストーリーを展開する読者参加型の小説作法が特徴である。ケータイ小説サイトの「魔法の図書館」だけでも、70万タイトルの作品が掲載され、人気作品は書籍化されてベストセラーとなり、百万部を突破する作品もある。ケータイ小説には次のような特徴があるとされる。(1)書き手が体験した実話、(2)泣ける物語、(3)ケータイと同じ横組み、(4)会話と独白でストーリーが展開し、情景描写が少ない、(5)センテンスが短く、すぐ改行する。