名誉棄損やプライバシーの侵害など放送に関する苦情を処理し、青少年向け放送に対する意見や苦情を審議して、放送局の自主的な対応策を充実させる第三者機関としてNHKと日本民間放送連盟が設立した審議機関。2003年7月発足。従来それぞれ独立していた放送と人権等権利に関する委員会(BRC ; Broadcast and Human Rights/Other Related Rights Committee)、放送と青少年に関する委員会、放送番組委員会を統合した。関西テレビによる「発掘!あるある大辞典II」のねつ造問題に端を発したテレビ番組に対する国民の不信感の高まりと行政側からのメディア規制の新しい動きを受けて、07年5月、番組ねつ造などを自主的に調査する新組織「放送倫理検証委員会」を設立した。6月の第2回会合で不二家の賞味期限切れチョコレートをめぐる問題を扱ったTBSの情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」を審理することに決め、8月6日、内部告発があったこと自体にねつ造はないが、「重大な放送倫理上の問題があった」との見解を発表した。同委員会はまた、山口県光市の母子殺人事件の広島高裁での判決直前の08年4月15日に記者会見を行い、NHKのニュース番組などを含め33番組を調査した結果、そのほとんどが局と制作スタッフが違うのに同じ傾向の報道を示し、公正性・正確性・公平性の原則から逸脱して感情的に制作されているという意見書を公表した。判決当日の4月22日の放送は、各局ともに指摘された「集団的過剰同調」の傾向を抑制し、かなり冷静なものとなった。09年には、バラエティー番組全般に共通する問題についても審議し、同年11月、バラエティー番組には、古い秩序や権威を笑い飛ばし、常識や社会通念を揺さぶる長所はあるものの、視聴者に不快感や嫌悪感を抱かせる、行き過ぎた表現が目立つことを指摘し、番組づくりを見直すように勧告した。