新聞社や放送局が自社では独自に取材できないニュース、論説、オピニオン、小説などを代わって取材し、編集、配信することを専門にするメディア。2002年1月、最高裁は共同通信社が配信し、事件関係者の名誉を棄損したとされる記事について、掲載した新聞社にも賠償責任があるという判断を下した。従来、新聞社には「配信サービスの抗弁」があるとする判例が多かったが、最高裁判決は配信記事の真実性について高い信頼性が確立していないとして、この考えを退けた。加盟新聞社が通信社の配信記事に修正を加えないで掲載した場合、記事が名誉棄損に当たる内容であっても、新聞社は免責され、通信社だけが責任を負うのが配信サービスの抗弁である。最高裁判決は広い取材力をもたないメディアにも独自の裏付け取材を要求するため、報道が委縮し、言論の自由が制約されると危ぐされている。2007年9月、東京地裁は、東京女子医大病院での女児死亡事故に関して共同通信社が配信した記事について、記事を掲載した地方紙3紙に対して、配信元である「共同」のクレジットをつけなかったことから、配信サービスの抗弁を認めない判決を下した。この判決は02年の最高裁判決に準拠するものだが、メディア側は地方紙の報道が委縮するという点に危機感を募らせている。また地方紙が配信元のクレジットをつけずに配信記事を掲載する慣行についても、議論を呼んでいる。