公共の福祉に関し公平な判断ができる、広い経験と知識をもつ12人の委員で構成され、NHKの経営に関する基本方針、内部統制に関する体制の整備をはじめ、NHKの活動に関する基本計画を決定し、役員の職務の執行を監督する委員会。委員は衆・参両院の同意を得て、内閣総理大臣によって任命される。いままでの経営委員会はNHK執行部案の「承認機関」としての性格が強く、その権限は名目的なものと考えられてきた。しかし一連の不祥事に端を発してNHK改革が求められるようになり、2008年4月に施行された改正放送法によって、経営委員会の権限は明確化され、強化された。経営委員の一部が常勤化して内部改革に専念することになり、また役員の職務執行を監督する監査委員会にも経営委員の中から3人以上が入ることになった。放送法改正に先立って、経営委員会は、会長人事でその企業統治(ガバナンス)力を示している。インサイダー取引事件で辞任した橋本元一前会長の後任人事において、外部からの会長登用に対するNHK内部の強い反発を押し切って、07年12月、経営委員会は異例の採決で、アサヒビール出身の福地茂雄を会長に任命した。さらに08年10月、NHK執行部が作成した09年度から3カ年の中期経営方針案に対して、「12年度から受信料収入の10%の還元(=値下げ)を実行する」とする異例の修正決議を行い、執行部に対して企業統治力を示した。この背景には、04年から相次いだ不祥事に対する受信料の不払いの増加という社会動向を受けて、菅義偉総務相(当時)が求めていた受信料の支払い義務化にNHK側が難色を示し、見送られていたことがある。