子どもを性的対象にした反社会性の強い過激な性描写がある漫画やアニメの販売規制を強化する東京都の青少年健全育成条例改正案が、2010年12月15日に都議会本会議で可決、成立した。都の諮問機関「青少年健全育成審議会」が判断した不健全図書について、出版社は「成人マーク」(18歳以上対象)を付け、書店はビニールなどで包装して成人コーナーで販売するように努める。警告を無視し続ける者には30万円以下の罰金を科する。業界に求める自主規制は11年4月1日から、不健全図書指定は同年7月1日以降の発行分から適用される。今までも性交シーンや性器を露骨に描いたり、強い性的興奮を与える表現には成人マークや不健全指定を行ってきたが、今回の改正では、強姦や児童買春など法に触れる性的な行為を不当に賛美したり誇張して表現したものが付加された。子ども向け漫画やアニメの現状を心配する立場からは、社会の秩序を脅かす抑制を欠いた自由に対する当然の処置として支持されている半面、こうした内容はすでに規制済みであり、改正案における規制対象があいまいであることから、新たに規制を強化することは表現の萎縮(いしゅく)を招き、言論統制へつながるという批判が出ている。